「名作物語 シンデレラ姫」
著者 楠山正雄
挿絵 東郷青児
出版社 光文社
出版日 昭和22年(1947年) 2月5日
定価 55円
東郷青児50歳ごろの挿絵 女性礼賛芸術と表現される東郷の絵。
絵画や版画の作品にとどまらず、プロダクト・デザインを手掛けるなど、揶揄する他人にとらわれず、自分に与えられた画才という神様のギフトをいっぱい使って、自らの人生を膨らませ、まわりの人を楽しませた人。
シンデレラの挿絵を引き受けた彼の真意は推し量るより ありませんが、昭和22年の正月をあけてすぐに発行されたこの本には、終戦の翌年には取り組んだであろうことから、当時すでに名声の人であった彼は、戦後の街中に、家庭に、笑顔が生まれるようにと、挿絵を担当することになったのだと推察します。
シャルル・ペローという人があって、この人が、はじめて、フランス語で、フランスの昔話をかいて、一さつの本にまとめました。そうして、十歳になったばかりの、ちいさいむすこの名で出して、こどもがおかあさまからきいて、かきしるしたということにしました。これが、こどもに分かるやさしい、かざりのないことばで、昔話をかいた、たぶん世界にはじめての本でありましょう。楠山正雄